2012/08/13

*ギタリストコラム: 分析装置としての楽譜

Editor : Shige Okusawa (Acousphere)

ギターの勉強をはじめるには楽譜を読めなくてはいけないと誰もが考えているがほんとうにそうなのだろうか?

楽譜とはその昔、電気が発明されていない時代に音楽を保存して残す唯一のストレージデバイスだった。
現在はすべてのデータをデジタル化して残す事ができ、いつでもどこでも完璧に再現できる時代。
僕ももっぱら楽譜に記譜して残すよりも、iPhoneなどの動画撮影機能をつかって自分の演奏やアイデアを残すようにしている。
また偉大なアーティストにおいても楽譜がよめない、または苦手としている人が非常に多く、むしろ読めない事で音楽的な勘が発達してより良い演奏家になる人もいる。
楽譜という保存方法はすでに役目を終えている。



ではそれでもなお楽譜が必要となるのはなぜなのか?
それは現在の楽譜は「分析装置」としての役割を果たしているからだと僕は思う。
音楽という不思議な現象を五線譜の上に視覚的にならべ、そこに使われる音の傾向を分析してコンセプトを抽出する。
そのアーティストがつくった音楽の根源的な感性や「美醜」といったものをあぶりだしてはっきりさせる装置、それが楽譜なのではないかと思う。

そうやってあぶり出した情報を今度は自分の中に取り込んで自分のものとして使う事をする。
それが偉大なる先人に学ぶ事であり、新しい音楽をつくるために必要な日課なのではないかと思う。
楽譜とのつきあい方はすでに大きく変化している。
これから音楽を楽しみたい人にはぜひiPhoneやiPodなどのデジタルデバイス、特に映像を残せる物を身につけることをおすすめしたい。
その方が楽譜を書き、読み出すことよりもずっと早くてシンプルだ。
そしてその先の音楽を深く研究したい人たちは、ぜひ「楽譜という装置」を使えるようになってほしい。
古くて使いにくいデバイスではあるが、その装置を覗き込めば音楽という宇宙がひろがっている。

Written by Acousphere Shige Okusawa





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