Editor : Shige Okusawa (Acousphere)
フィンガーピッキングという言葉を聞くと指だけを動かして弾く奏法と思われるかもしれませんが、実際には指と同時に手全体を使い音を出しています。
手や腕全部の筋肉を上手に動かす事で指にかかる負担を軽減し、筋肉痛や腱鞘炎がおきにくくなります。
それだけでなく手を上手に使う事でより大きな音色が出るなど音楽的なよい部分もあります。
それでは実際にどのように手を動かすのがよいのか、どのように弦に力を伝達すればよいのかを説明したいと思います。
人間の手にとって一番自然な動きはただ「握る」という動きです。
実際に片手を握るように動かしてみてください。
前腕部の筋肉も同時に動いて、大きく力強く動く事がわかります。
対して指先だけを動かす動きをしてみるとどうでしょうか。
手首から先の小さな筋肉が動き、狭い範囲でしか動くことしかできません。
結果指先だけで弦を弾くと小さく細い音色になってしまいます。
このような事から弦を弾くときは「握る」ようにして、大きなアクションで弾くのが大事だということがわかります。
ではそれを踏まえて弦をはじくにはどうしたらいいでしょう。
正解は弦を斜めにはじくことです。
正しい持ち方でギターを持ち、手首を曲げず弦に手がふれるようにします。
その時触れた弦を指先でそのまま斜め方向にピッキングするのです。
ピッキングの初期段階では指先は弦の上を水平方向にすべりますが、そのまま手を握る方向に動かし続けると自然に弦が弾かれます。
実際にやってみると太くて歯切れのよいトーンで弦が発音することに気がつくと思います。
指先を使ってひっかけるように弾くと動きの小ささが原因となって細い質感の音色になり、音量も小さく発音されます。
人間の持つ自然な動き、筋肉の使い方にあわせた演奏スタイルが大事だということが理解していただけると思います。
音の強弱やダイナミクスは力の入れ方ではなく、手の動かし方で表現することができます。
(1)小さい音
弦に指先をつけ、指先を弦から放します。
その時ほんの少し指先をピッキングすると小さな音で弦が鳴ります。
エレキギターなどをアンプにつないでフィンガーピッキングするときに使うと良いでしょう。
(2)普通の音
弦に指先をつけ、片手で拍手をする要領で手を握ります。
握る瞬間に弦がはじかれて大きな音が発音されます。
きれいなトーンでの一番大きな音量の音がこれになりますが、常にギターから良い音色を出す為にこの音量を基本と考えてください。
(3)大きい音
更に大きな音が必要になった場合は弦をはじくのではなく、たたく感覚で弾きます。
指先を弦から放し手をひろげます。
そこから弦にむかって指を当てにゆきヒットします。
そのまま手を握る形に持ち込んだらフィニッシュです。
この方法(プラッキング)だと指と弦がぶつかった時の「チャッ!」というトーンが実音に付加され、ストロークとフィンガーピッキングの中間のようなトーンになります。
この「チャッ!」という音が入る事で迫力が生まれ、パーカッシヴなかっこ良い音が出るのです。
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