音楽映画を語る上で欠かせない名画、ブルースブラザーズ。
レイ・チャールズやジェイブス・ブラウン、ジョン・リー・フッカーなど往年の名ミュージシャンが出演していることでも有名な本作ですが、やはり本当にじっくり入れ込んで、また、はしゃいで見て欲しいのは主人公、ジョン・べルーシとダン・エイクロイドが演じるジェイクとエルウッドの「仕事」に並々ならぬパッション。
彼ら二人は同じ孤児院で育った兄弟分という設定。
ある日その孤児院が資金難による5000ドルの税金未払いのため閉鎖の危機に。
その孤児院を救うため二人は立ち上がり、バンドを結成しライブで一儲けを目論むというのがストーリーの始まりです。
彼らの「仕事」とはバンドで稼いで孤児院を救うことなのです。
堅気の仕事についてる元バンドメンバーをバンドに引き戻すために脅しがてらに職場で大あばれしたり、他のバンドを語ってライブをねじ込んだり、警察と至るところでカーチェイスを繰り広げたり、一見珍道中コメディーのような行動の根底には何がなんでも孤児院を救うという信念が垣間見えます。
ジェイクとエルウッドが教会でジェイムス・ブラウンの説法を聞くシーン。
憮然としていたジェイクがその途中で豹変し、「バンドだ! バンドをやるんだ!!」エルウッドに叫ぶ。「バンドを結成してギグをやれば5000ドルは軽い」
そうこうしているうちに警察に追いかけられるんですが、そこでエルウッドが一言「神の使徒は捕まらん」
どんな事態が起ころうが、誰に咎められようが、警察に追われようが「仕事のためだ」「使命だ」と意に介さずに邁進。
そのまっすぐな姿勢はとにかくかっこいいとともに、ここまで脇目もふらずに目標や仕事に向かいあったことがあるだろうかと自問自答させられます。
そして彼らがかっこいいと思えるのはそれが自分のための行動ではなく孤児院を救うという目的あっての行動だからだと思います。
ラストのライブ前に孤児院の子供達がチラシを配るんです。
その子供達に孤児院での親代わりのキャブキャロウェイがこう言うんです。
「今夜、ジェイクとエルウッドはお前たちのために歌うんだ」
誰かのためとかを通り越して背負いこんでいる、そんな風にしてできた音楽はなんと素晴らしいことか。
ハープを吹くエルウッドの肩に手を回して歌うジェイク、そのシーンではいつも感極まってしまいます。
音楽家とはいかにあるべきか、仕事とはどのように向かい合うべきか、そんな大きな指針を示してくれるようなあ映画だと思います。
ハチャメチャなシーンもとても面白いですが、随所に現れるジェイクとエルウッドの仕事の哲学に一度目を向けてみてください!